以前に、「
結構いろいろいるのがわかって楽しい」と書いた見附橋の橋げたですが、実は幽霊も出るんですよ。幽霊は幽霊でも、ユウレイグモの仲間なのですが。
まずは、オス。
ものすごーく歩脚が長いです。からだの部分だけ拡大して見てみましょう。
蝕肢がぷっくり、つやつやとふくらんでいるのがわかりますね。
このオスの5センチほど前方にはメスの姿がありました。
メスは歩脚が5本、オスは6本でした。見るからにポロリと取れやすそうな脚ですよね(本当に取れやすいのかどうかはわかりません。あしからず)。八木沼他・学名と和名117頁によると、このクモの種小名
opilipnoidesは、「ザトウムシ(
Opilio)に似た」という意味があるとのこと。たしかに、このひょろひょろとした脚には、ザトウムシを思わせるものがあります。
ユウレイグモの仲間は危険を感じると体を激しくゆらして相手を驚かすのだそうで、みるかし姫さんのサイト「
クモニスト・インターナショナル」のなかの「
あっと驚くクモの事実あれこれ(4)」というページには、クモのこの性質が「幽霊蜘蛛」の名の由来になっていると読めるような記述があります。
足がないから幽霊なのかなーなんて思ったのですが、違いましたね(笑)。
夕方、散歩がてら、写真だけでははっきりわからなかったこのクモの形状を確かめにもういちど見に行ったら、2人の距離はだいぶ縮まっていました。
何か起こるかも、とワクワクしながら、しばらく出歯亀を決め込んでいたのですが、何事も起こらず、ただ蚊の餌食になった(私が)だけでした。何事か起これば、後日、これまたよく図鑑に載っている、メスが卵のうをくわえているところが見られるかな、なんて期待したのですけれど。翌日にはもう姿がなくなっていました。残念。
Pholcus opilionoides 造網性(不規則網)
撮影:(4枚とも)07.7.22
デビッド・アッテンボローが自然を紹介するBBCのシリーズ「昆虫の世界」を観ました。「野鳥の世界」や「植物の世界」と同じシリーズです。
Episode3:織りの達人(The Silk Spinners)では、吐き出した糸をさまざまに利用しながら生きている虫たちが紹介されていますが、「糸を紡ぐ」といえば、その筆頭はやはりクモたち。この巻には、たくさんのクモが登場します。クモがメインなのに「
昆虫の世界」とはケシカランなんて野暮は言わないで(※)。
登場するクモは、投網を投げてコオロギを捕まえるメダマグモ、居候している網の主ジョロウグモに震動が伝わらないように、細心の注意を払いながら網の糸を切ってハエを頂戴するイソウロウグモ、フェロモンを出してガを呼び寄せ粘球つきの投げ縄で仕留めるナゲナワグモなど。クモたちが糸を利用して餌を獲得する映像は、美しく、かつ、とてもスリリングです。また、しおり糸でメスの存在を知り求愛行動をとるコモリグモの動作は、まるで手旗信号のようで、とてもユーモラスでした。このクモのメスが交接後に産卵(卵のう作成)する様子もすばらしいです。
このほか、トタテグモ、コガネグモ、オウギグモ、セアカゴケグモ、ムレアシブトヒメグモなどが登場します。また、クモ以外にも、ハエの幼虫やシロアリなどの生態も紹介されています。長さは50分ほど。
BBC ライフ・イン・ザ・アンダーグロウス/昆虫の世界 DVD-BOX
/ ジェネオン エンタテインメント
ISBN : B000M9BQLQ
※ 原題は“Life in the Undergrowth(下草の中の生き物)”で、「昆虫」の語は使われていません。undergrowthには「下草」とか「やぶ」の訳語が当てられ、高さのイメージは30センチから3メートルくらいとのことですが、森林のうちの林冠以外のすべての植生を指す語として用いられることもあるようです。
■
Undergrowth - Wikipedia
あちこちのオオヒメグモの網に卵のうがたくさんぶら下がっていますが、出のうした子グモたちが団居(まどい)を形成しているのを見つけました。
下の方にいるのがお母さん。上の粒々が子グモたちです。
子グモらしきものを拡大してみます。なんとなーく、オオヒメグモの形をしているのがわかるでしょうか(心の目で見てね)。
八木沼他・学名と和名2頁によると、種小名のtepidariorumはラテン語tepidarium(微温湯浴場)の複数属格。温暖な場所や温室でよく見られることに由来するようです。それから、属名のachaearaneaは「貧乏なクモ」という意味だそうです(ひ、ひどい!)。
Achaearanea tepidariorum 造網性(不規則網)
撮影:(2枚とも)07.7.29
タイガースファンのみなさま、球団マスコットに1匹いかがでしょうか。ズボン丈短め、ストッキング長めの由緒正しいスタイルです。
Argiope bruennichii 造網性(正常円網)
撮影:07.7.28